A:できれば、一級建築士のような建築の専門家に同行してもらっていっしょにチェックするとよいでしょう。
【内覧会って何?】
一般的に内覧会というのは、内々で見るとかチェックするために用意された特別な機会のことです。建売やマンションなどの分譲住宅においては、売買契約の時点ではまだ完成していなかった物件に対して、完成を機にその出来具合や不具合な箇所を購入者がチェックできるように、分譲会社では内覧会という形で設定しています(ただし、法的には義務づけられていない)。
この内覧会を通じて仮に不具合箇所があれば手直し工事が実施され、再度、確認等の内覧会が行われます。要するに、購入者が不具合箇所の手直しを納得ゆくまで要求できる機会が、内覧会というわけです。したがって、購入者にとってはたいへん重要な「会」であると同時に、これを行うことによって、あとあとのトラブルを少しでも避けられる状態で物件の引き渡しを受けることができます。
注文住宅においては竣工検査がこれに相当し、その検査内容は、質問にある建売住宅におけるチェックポイントとほぼ共通しています。ただし、注文住宅では着工段階からチェックが可能なのに対して、建売住宅では一部の例外(分譲会社では実際の分譲に先立って工事現場見学会などを行っているところもある)を除いて、完成段階になってからでないとチェックすることはできません。
【チェックするための準備は?】
用意するものとしては、間取り図や仕様内容を示したパンフレット類(もし事前に入手可能ならより詳細な図面類の方がベター。また契約段階でオプション仕様も含めて仕様変更した場合には、それに関わる書類なども用意)、印鑑(認め印)、スリッパ、メジャーおよび懐中電灯、軍手、それに事前に作成したチェックリスト表のようなものなどです。
服装に関しては、汚れても気にならない普段着でしかも動きやすいものがいいでしょう(女性の場合にはスカートは禁物)。
そのほか、徹底チェックするためには相当の時間を要します。仮に時間が1時間とか2時間と限定されているような場合には、事前に時間の延長を分譲会社に申し入れておく必要があります。
また、できるだけ夫婦ないし家族単位で複数チェックする方が、1人の場合よりも広範囲なチェックが可能です(ただし、小さな子供が同行する場合にはチェックが散漫になるケースもある)。
【どんなところをチェックすればいいの?】
●基本的なチェックポイント
(1)購入の際に事前に入手していたカタログ等に記載された間取りおよび仕様(各部位の仕上げ仕様および設備仕様)のとおりになっているかどうか。
(2)事前に仕様等の変更を申し入れている場合には、その通りに変更されているかどうか。
●内部のチェックポイント
(1)床・壁・天井・造作部等の仕上げ部分の汚れやキズ、張りムラなどの有無のチェック(全室・全スペース)。
(2)開口部建具、間仕切り建具、収納部建具等の開閉・可動状態の善し悪し(すべての建具類)。
(3)造り付け収納部等の仕上がり・据え付け状態のチェック。
●設備類のチェックポイント
(1)電気設備やガス設備等の稼働チェック(電気設備に関しては付帯設備の照明器具の点滅状態およびコンセント類の位置などのチェック。コンセントおよびスイッチの取付位置や種類等の変更については、契約段階で対応できるケースもある)。
(2)台所・浴室・洗面などの水回りの給水・排水状態のチェック(トイレの場合には水が流せない状態になっているのが一般的)。
(3)設備機器類の使用方法の説明を受け、設置状態・操作性をチェック。
●外部のチェックポイント
(1)屋根・外壁等の外部仕上げの汚れや仕上げムラなどの有無のチェック。
(2)バルコニーや樋などの外装部材の設置・取付状態のチェック。
(3)門、塀・フェンス、車庫、植栽・造園等の状態チェック。
(4)敷地内の水はけ状態および排水枡での排水状態のチェック。
●構造躯体部のチェックポイント
(1)鉄筋入りのコンクリート基礎のヒビ割れや欠け等の有無のチェック。
(2)床下通気孔からの床下部分の状態チェック(部分的ではあるが基礎と土台などの緊結状態が確認可能。懐中電灯必要)。
(3)通し柱など構造部材の樹種・寸法等のチェック(真壁構造では可能。大壁構造では柱等が隠れるのでチェック困難)。
(4)小屋裏部分の状態チェック(2階の押入れ等の天井に小屋裏へのメンテナンス用の出入り口が設けられているのが一般的。そこを通じて構造躯体部の組み付け状態および断熱材の取付状態等をチェック)。
【果たして素人のあなたにチェックできるの?】
最後に「果たして素人のあなたにチェックできるのか?」という問題があります。結論からいえば、よほど事前に勉強していないと、すべての箇所においてほぼ万全な形でのチェックは無理といえるでしょう。
とくに、最も重要なチェック箇所である構造躯体部については、ほとんどが隠れた状態であるためかなり困難です。もちろん、どんな状態であれば正しく施工されているのか、といった判断や判定を下すことも難しいといえるでしょう。
それに、内覧会では工事の専門家である工事担当者も立ち会うことにもなっており、仮に疑問点などがあってもうまく切り抜けられるケースもあるでしょう(手直し箇所が少なければ少ないほど分譲会社にとってはメリットがある)。専門家には専門家を立てて対応するのが、最善の策かもしれません。
そこで結論としては、一級建築士のような建築の専門家に同行してもらい、そのアドバイスを受けながらチェックをするのがよさそうです。むろん、そのためには費用が掛かります。構造や規模、拘束時間等によってその費用は多少異なりますが、一般的な木造住宅のケースで3.5万円から4.5万円のチェック費用+交通費実費といったところが相場です。 |